古社への誘い 神社散策記

たまには静かなる社の空間に身をまかせ、心身共にリフレッシュしてみませんか・・・・

知形神社

 知形神社の鎮座地は「田中」で、古来より交通の要衝と言われていた。それ故か吉田東伍の『大日本地名辞書』には、「延喜式幡羅郡田中神社はこれなるべし。然るに近世この村 榛沢郡の所管なりしかば、三ヶ尻の田中天神を以て式内に擬せるも、村名にも後世まで存するを想へば、此なる知形明神ぞ式内ならん云々」とあり、幡羅郡の延喜式内社・田中神社に比定している。さて真相はどうであろうか。

所在地   埼玉県深谷市田中612-1
御祭神   彦火瓊瓊杵尊、思兼命  (合祀)菊理姫神 伊弉諾尊 伊弉册尊
社  挌   旧村社
例  祭   10月15日 秋祭り


       
地図リンク
 国道140号線秩父街道から武川交差点で県道69号深谷嵐山線を南下すると、応正寺の西側に知形神社が鎮座している。境内の殆どはゲートボール場になっており、日中は地域のコミュニティの場としてこの神社が存在していているようだ。
 境内周囲には木々が茂り、社殿左側には沢山の末社が纏められている。無形民俗文化財指定の「知形囃子」が奉納される神社として知られている。
 
                             社号標                                           境内の様子 鳥居の形式は明神鳥居
                              
  例祭では、享保年間から氏子により始められたと伝わる、無形民俗文化財指定・知形囃子が奏されている。

知形囃子(昭和三十七年十二月二十五日指定)
 享保九年(1794年)頃知形神社の氏子により受け継がれたものである。毎年七月十五日夏祭りに十一の廊を神輿の渡御の先導になって奏でられたもので知形の囃子、馬鹿囃子、街道下り三曲よりなっている。秩父囃子の源流といわれ、よく似ている.
                                                                                                                     案内板より引用
          
                             拝   殿
 拝殿の向かって左側に境内社がある。
          
 左手前から八坂神社、諏訪神社、琴平宮、雷電神社、見目神社、(?)、手長神社、稲荷神社、八幡神社、荒川神社、金山神社、天満宮、愛宕神社。
 また反対側には御神木の幹に2つ石祠があったが、カメラの容量の関係で撮影できなかった。


 歴史学者、民俗学者で有名な柳田國男の著書「定本 柳田國男集」によると、「ちかた」とは、門神、門を守護する神のことであるという。古語拾遺に「豊磐間戸命・櫛磐間戸命の二柱の神をして、殿門を守衛らしむ。是並、太玉命の子也」とある。深谷市の智形神社の祭神(配祀)が天太玉命であるというのは、このことと関連するのだろう。また天太玉命は、主神の瓊瓊杵命が天降ったときの伴の五柱の神の一柱でもある。

 川本町田中の地は、東西に熊谷と秩父、南北に深谷と嵐山を結び、さらに荒川水流を臨む交通の要所という。この地に知形神社が鎮座しているということは、何か深い意味があることなのだろうが現状それ以上の考察は不明だ。


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