古社への誘い 神社散策記

たまには静かなる社の空間に身をまかせ、心身共にリフレッシュしてみませんか・・・・

高野倉八幡神社

 鳩山町高野倉地域は、地内中央部を流れる越辺川支流鳩川の最上流水源地帯にあたり、鳩川両岸に水田が、三方を囲む丘陵部には畑が細長く広がる農業地域である。ゴルフ場の開発も盛んで西部の丘陵には越生ゴルフクラブ、南部の丘陵には日本カントリークラブのゴルフ場がある。
 高野倉八幡神社は、この高野倉の鎮守として北部の丘陵斜面に祀られていて、社を含めた周囲一帯は「高野倉ふれあい自然公園」という里山公園が広がっていて、自然に囲まれた環境で散歩するのにおすすめである公園だ。
        
             
・所在地 埼玉県比企郡鳩山町高野倉545
             
・ご祭神 品陀和気命(応神天皇)
             
・社 格 旧村社。旧名 鬼子母神社
             
・例祭等 不明
  
地図 https://www.google.co.jp/maps/@35.9929694,139.2996226,16z?hl=ja&entry=ttu
 熊井黒石神社から北にある鳩川沿いの道路を北西方向に進み、途中「百地蔵通り」に合流し、道なりに進むと「高野倉ふれあい自然公園」の横看板が見えるので、そこを右折すると、公園内斜面上に高野倉八幡神社は鎮座している。
 公園内には舗装はされていないが、駐車スペースは確保されていて、そこから斜面上に徒歩にて歩いて行くと、高野倉八幡神社が見えてくる。
        
              「高野倉ふれあい自然公園」案内板
 鳩山町にある新しく整備された公園のようで、平日でもあり、ゆったりと散策できる穴場的な公園。公園内には「鳩山町景観樹木」に指定されている大きなもみの木が2本林立している。また、入口付近には御堂山があり、高野倉八十八ヵ所、八幡神社のイチイガシ(町指定天然記念物)に隣接し、鳩山の「四季」が堪能出来る里山公園である。
            
  駐車場からでもすぐ目視できる程、近くの斜面上に屹立しているイチイガシ。樹勢も旺盛。
       町指定天然記念物であり、同時に高野倉八幡神社のご神木でもある。
            因みに「イチイガシ」は「一位樫」と書く。
        
               近くに案内板が設置されている。
 鳩山町指定記念物 八幡神社のイチイガシ
 指定 昭和五四年四月二五日
 所在 大字高野倉八幡神社
 この大木は、樹高約二〇m、樹齢が四百年とも六百年とも言われ、八幡神社の御神木として地元の方々によって大切に守られてきました。平成五年九月一六日に、現名称に変更いたしました。
 イチイガシの天然分布は九州に最も多く、北限は茨城県で、埼玉県、群馬県、栃木県、福島県では全く発見されていません。このことは、八幡神社のイチイガシが、昔、なんらかの理由で植栽されたもので、さらには、八幡神社の歴史観と併せて、極めて貴重な天然記念物であると言えます。
 平成六年三月 鳩山町教育委員会
                                      案内板より引用

 
 イチイガシの左側脇に通っている道は社に通じる参道にもなっているようだ(写真左・右)。理由は分からないが、この社には鳥居がなく、社号標も見当たらなかった。
        
                  高野倉八幡神社境内
        なだらかな丘陵地面の境内からまた一段高い場所に鎮座する社。
 現代の技術によりしっかりと公園全体が管理された中に鎮座している社ではあるが、時に里山ならではの原風景も木々の中に垣間見られる。そして境内に立ち周囲を見渡すと、何故か時が止まっているような雰囲気さえ醸し出すから不思議な感覚だ。
        
                     拝 殿
 高野倉八幡神社の創建年代等は不詳であるが、社記では仁寿元年(851)の創建と伝えている。明治維新前までは「鬼子母神」などと称し、正圓寺の境内として当社は扱われていた。境内に残された御神木の「イチイガシ」は、温暖性植物でその分布の中心は、九州や四国、紀伊半島などの暖かい地方に分布の中心があり、高野倉の例は、自生北限をはるかに超えた、関東地方でも房総安房を除くとほとんど例のないと言われる、たいへん貴重な樹木であることから人工的に植樹されたものと思われ、樹齢600年とも伝えられることから、創祀年代もその頃ではないかとも推測されている。

 ところで「鬼子母神」は仏教を守護する善女神の一人。多くの子をもっていたが,常に他人の子を奪って食べるので,仏が鬼子母の子を隠して,子を食う罪をさとした。以後仏教に帰依し,その守護神となったという。日本では主として,安産,保育の神として信仰され、ときに盗難よけの神ともされる。単独で信仰されるほか,密教では「普賢十羅刹女 (ふげんじゅうらせつにょ) 」図中にも加えられている。
『新編武蔵風土記稿』においてこの社は、「鬼子母神」と称していたが、其の後「八幡神社」と改称する。その八幡神社と改称した理由などは不詳との事だ。
        
                     本 殿
 
 高野倉八幡神社には二基境内社が祭られている。社殿石段下で参道に対して左側にひっそりと祀られている石祠(写真左)、本殿奥右側にある境内社(同右)。どちらも木製の標があるのだが、薄くて解読不能。石祠のほうは「天満(?)天(?)〇」と読めなくもない。
        
                           社殿下参道よりイチイガシを撮影

 ところで「高野倉ふれあい自然公園」の入り口付近には、百地蔵や八十八ヶ所石塔、大師堂跡などが残されていて、「お堂山」と呼ばれる山頂までは散策できなかったが、古い時代から信仰の地だったようで、今も地域の方々によって大切にされている様子が窺える。
 
                 八十八カ所石塔が斜面に沿って並んでいる(写真左・右)。

         阿弥陀堂          お地蔵様には手を合わせ祈願させて頂いた。



参考資料「新編武蔵風土記稿」「
日本歴史地名大系」「埼玉の神社」「鳩山町HP」
    「
百科事典マイペディア」「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」「公園内案内板」等

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