古社への誘い 神社散策記

たまには静かなる社の空間に身をまかせ、心身共にリフレッシュしてみませんか・・・・

柏合八王子神社

        
            ・所在地 埼玉県深谷市柏合725
            ・ご祭神 天照大御神・月読命・男五神(正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命
                 天之菩卑能命・天津日子根命・活津日子根命・熊野久須毘命)
                 女三神(奥津島比売命・市寸島比売命・多岐都比売命)
            ・社 格 旧村社(*大里郡神社誌)
            ・例 祭 大祭 419日 1019日
 柏合八王子神社は深谷市柏合地区に鎮座する。柏合地区は、東側にある「深谷市総合体育館(通称深谷ビッグタートル)」と、西側にある「深谷グリーンパーク」との間に位置する南北約1.4㎞、東西約1.2㎞の地区で、全体的にはなだらかな田園地帯が続く場所であるが、地区南側の標高が71m程に対して、そこから北方向に進むにつれて63m程に緩やかに下がっていく下り斜面の地形となっている
 柏合八王子神社は樫合常世岐姫神社の北東方向約800mの場所に鎮座していて、境内には「美しい村ふれあいセンター」がある。駐車スペースは以前ならば境内が広く、そこに停められたが、現在は駐車ができないので、西側にある深谷グリーンパークの駐車スペースに停めてから徒歩にて参拝を行った。
        
                                  柏合八王子神社正面
 
      一の鳥居は朱色の両部鳥居         一の鳥居のすぐ先にある二の鳥居
     
      参道を進むと左側に手水舎がある。            参道正面
                            解放感のある空間が広がる。
       
                  参道を進むと右側にご神木である杉の大木が聳え立つ。
        
                           拝 殿
        
                         境内にある「八王子神社本殿再建記念碑」
 八王子神社本殿再建記念碑
 当地は古くは武蔵国藤田庄柏合村字島の上と言う地名にあり、この神社の創建は元禄時(西暦1688年)頃である。当時は八王子明神社として祀られたと言う。現在の本殿は寛政十二年(西暦1800年)の建立である。(以下略)
 当神社の由来は天照大御神と須佐之男命に結ばれた誓約に依る男五神と女三神を合わせ祀り八王子を社号とした。
 その他に境内地には八坂神社、塞神社、天手長男神社、浅間神社、種痘神社が祀られている。五穀豊穣、家内安全、身体壮健等の神様として信仰が厚い。大祭は春四月十九日と秋十月十九日の年二回行われ、当地の氏子衆により「ささら獅子舞」が奉納される。
 このような歴史ある社殿も近年老朽化が甚だしく敬神愛郷の念厚い氏子崇敬者は社殿の護持に心を砕いていた。平成十七年本殿を建て替える気運が盛り上がり、氏子の総意で建設委員会を立ち上げた。三年後の完成を目標に計画を進めた。貴重な浄財を多大に寄進して戴いたので、社殿、末社、水屋を新設、玉垣、参道を改修し境内の整備を行った。
 ここに八王子神社竣工奉祝会の斎行をもって完成をみた。依って記念碑を建て関係者一同の芳名を刻んで永く記念とする。
 平成二十一年(西暦二〇〇九年)十月吉日(以下略)
                                      境内碑より引用
 境内碑に記されている「ささら舞」とは「柏合獅子舞」のことで、この獅子舞は深谷市の無形民俗文化財に指定されている。
 ささら舞は無病息災や豊作を祈願し奉納される江戸時代から続く伝統行事で、「ささら」とは、獅子舞のときにこすり合わせて音を出す木や竹製の楽器のことで、この楽器の名前が埼玉県を含めた北関東では獅子舞の別称にも使われている。
 柏合獅子舞は「法眼」「男獅子」「女獅子」の3頭からなり、4月中旬並びに10月中旬の八王子神社例大祭に合わせて奉納される。伝承によれば、深谷城の上杉氏が伝えたものと謂われていて、八王子神社の雨乞い神事の際に行う。
 
            社殿手前で左側には境内社が鎮座している。
左側には八坂神社(写真左)。右側の末社殿には浅間神社・天手長男神社・塞神社・種痘神社の四社が祀られている(同右)。

 八王子という地名は全国に存在する。元々八王子権現は近江国牛尾山(八王子山)の山岳信仰と天台宗・山王神道が融合した神仏習合の神であり、日吉山王権現もしくは牛頭天王(ごずてんのう)の眷属神である8人の王子(相光・魔王・俱魔良・徳達神・良侍・達尼漢・侍神相・宅相神であり、夫々の本地は釈迦・文殊・弥勒・観音・薬師・普賢・阿弥陀・地蔵)を祀った。

 因みに権現(ごんげん)とは、日本の神の神号の一つ。日本の神々を仏教の仏や菩薩が仮の姿で現れたものとする本地垂迹思想による神号である。権という文字は「権大納言」などと同じく「臨時の」「仮の」という意味で、仏が「仮に」神の形を取って「現れた」ことを示す。
        
                              柏合八王子神社 遠景

 近江国牛尾山は、古くは主穂(うしお)山と称し、家の主が神々に初穂を供える山として信仰された。牛尾山の山頂にあった牛尾宮は比叡山延暦寺の鎮守であった日吉山王権現21社の一つで、山王の王子である8人の眷属神が八王子権現として祀られ、千手観音菩薩を本地仏とした。また牛尾を忌みて、祇園精舎の守護神である牛頭天王が頗梨采女(はりさいにょ)との間に設けた8人の王子かつ眷属神が八王子権現との信仰も発展した。

 神仏分離・廃仏毀釈が行われる以前は、全国の八王子社で祀られたというが、明治維新の神仏分離・廃仏毀釈によって、日吉山王権現・牛頭天王(祇園信仰)とともに八王子権現も廃されたという。


参考資料 「大里郡神社誌」「Wikipedia」「
境内再建記念碑」等

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