古社への誘い 神社散策記

たまには静かなる社の空間に身をまかせ、心身共にリフレッシュしてみませんか・・・・

田中一之神社


        
              
・所在地 埼玉県本庄市田中134
              
・ご祭神 倉稲魂命
              
・社 格 旧田中村鎮守・旧村社
              
・例祭等 祈年祭 319日 夏祭り 715日 
                   秋祭り 
113日 新嘗祭 1219
  
地図 https://www.google.co.jp/maps/@36.2527484,139.1883378,18z?hl=ja&entry=ttu
 久々宇稲荷神社の信号のある十字路を左折し、西方向に850m程進んだ先の細い十字路を右折するとすぐ左手に田中一之神社が見えてくる。
 隣接している医王寺の北側にある専用駐車場をお借りして、参拝を行う。
        
                                  
田中一之神社正面
 本庄市田中地域は仁手地域の西側で、利根川南岸の自然堤防上に位置し、『新編武蔵風土記稿 田中村』において民戸80戸余、村の北境を流れる利根川に沿って「川除(かわよけ)」の堤があった。この「川除」とは、堤防などの水害防止施設をいい、この一之神社の由緒にも「真近に烏川・利根川が流れる氾濫原」「昔利根川大洪水のとき」と記されていて、大河川近くにある地域だけに昔から水害多発地帯であったのであろう。
 正保国絵図に田中村のみが記されるが、元禄年中改定図には田中村と「田中村内前田村」がみえ、後者は前田中集落をさしている。前出「風土記稿」には小名として「川岸田中」「前田中」を載せている。この小名の「前田中」について、同署には「元禄図には田中村の内前田村と記し、其のさま一村の如くなれど、小名前田中のことにて、別に一村をなせしにはあらず」と記している。寛永18年(1641)の検地帳(本庄市立歴史民俗資料館蔵)によると検地代官は南条金左衛門で、田三町一反余・畑一六町余・屋敷七反余、利根川に接しているものの畑地の圧倒的に多い村である。
 
     鳥居の左側に並ぶ庚申塔群        
鳥居の向かい側にある御嶽塚

 田中村の小名には「古社(ふるやしろ)」があり、以前ここに神社があったことを示しており、嘗て村の鎮守社である一之神社がここにあったのではないかと推定される。「地名と歴史」によれば、昔は正月十四日に子供達の祭りである「ドンド焼き」が行なわれたという。
        
                     拝 殿
 一之神社の創立年代は不詳ながら、嘗て利根川大洪水のとき、上野国一の宮貫前明神の御神体が流れてきて、当地の川岸に打ち寄せられたのを村人が発見し、その地に小祠を立て「一宮明神」と称して鎮祭した。
 その後、江期の社号額に「正一位稲荷大明神 一宮大明神」と二柱が並記されていたが、明治初期に、一宮明神社の社名では本社の一宮貫前明神に対して恐れ多いとの村人の意見で一之神社に改められたという。
        
                境内に設置されている案内板
 一之神社 御由緒   本庄市田中一三四
 ▢御縁起(歴史)
 当社の鎮座する田中は、真近に烏川・利根川が流れる氾濫原に開けた集落で、寛永年間(一六二四~四四)に烏川の瀬替えによって上野国那波郡より武蔵国に所属したという。
 その創建については『児玉郡誌』に「当社創立年代は詳かならざれども、往昔利根川大洪水のとき、上野国一の宮貫前明神の御神体流れ来り、当地川岸に打寄られ有りしを発見し、里人小祠を造って一宮明神と称し、鎮祭せりと云伝ふ」と記されている。また、『本庄市史』には、田中の地内にある「古社」の地は現在の一之神社があった所と伝える旨が載せられている。
『風土記稿』田中村の項には「医王寺 新義真言宗、賀美郡七本木村西福寺末、蓮台山弥勒院、本尊は不動、一宮明神社 村の鎮守 稲荷社 薬師堂 大日堂」と記されており、化政期(一八〇四~三〇) には医王寺の境内に祀られていたことがわかる。また、享保十七年(一七三二)の「(梵字)奉造立一宮大明神御宸殿一社」と記される棟札には、医王寺の住職と思われる「願主法印賢清」の名が見える。
 社頭に掲げられている江期の社号額には、「正一位稲荷大明神 一宮大明神」と二柱が並記されているが、明治初年の書き上げの際に一宮明神社の社名で
は本社の一宮貫前明神に対して恐れ多いとの村人の意見で一之神社に改められたという。(以下略)
                                      案内板より引用
 
  拝殿左側には石祠や庚申塔・道祖神       道祖神等の右並びにある境内石祠群
      が祀られている。                右端は戸隠神社
        
                  境内社・稲荷神社
       
                  境内社・稲荷神社の右奥にあるご神木(写真左・右)
           ご神木の根本付近には石祠・社日神が祀られている。
        
                         一之神社と別当寺である醫王寺



参考資料「新編武蔵風土記稿」「日本歴史地名大系」「埼玉の神社」「本庄市の地名」
    「境内案内板」等
 

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