古社への誘い 神社散策記

たまには静かなる社の空間に身をまかせ、心身共にリフレッシュしてみませんか・・・・

太平山神社

 太平山(おおひらさん)は、栃木県南部の栃木市にある山で、標高は341m程の所謂低山である。太平山は「太」と書くのに対し、行政区画上属する旧大平町(現在の栃木市大平地域)は「大」と書く。これは、旧大平村が合併発足した際に、画数が4である「太」の字を忌避したためと言われている。
 栃木市の中心街から西へ約5㎞の場所に位置する太平山は、桜やあじさいの名所として親しまれている。頂上近くの謙信平からは関東平野が一望でき、眺めの良い場所からは、晴れていれば東京スカイツリーや西新宿高層ビル群、富士山を眺めることもでき、地上が霧になると霧の上から島のように付近の山々がみえることから「陸の松島」とも言われている。
 また民間の組織である日本夜景遺産事務局が選定する日本の夜景地の中で、特に芸術的価値を有すること、土地柄が表れていること、所在地に大きな文化的影響を与えていること等の8つの基準に基づいて選定されている日本夜景遺産には大平山も認定されている。
 当社の周辺からは古い時代の祭祀遺跡・祭祀遺物が出土しており、太平山は非常に古くから信仰されていた山であったのであろう。
        
             
・所在地 栃木県栃木市平井町659
             ・ご祭神 瓊瓊杵命・天照皇大御神・豊受姫大神
             ・社 格 旧県社  創建 827年(天長4年)
             ・例 祭 例大祭日 1018日 他 

 太平山神社(おおひらさんじんじゃ)は、栃木県栃木市、太平山(341m)の中腹にある神社で、春の桜、6月のあじさい坂の紫陽花、秋の紅葉で知られる。
『延喜式』巻910神名帳 東山道神 下野国 都賀郡「大神社」に比定される式内社(小社)の論社であり、近代社格では県社。
『諸神座記』などによれば、第11代垂仁天皇の御宇に大物主神(おおものぬしのかみ)・天目一大神(あめのまひとつのおおかみ)が三輪山(現 太平山)に鎮座したのが創祀と言われている。
 古くより太平山の頂上から栃木市を見守る 1,000段に及ぶ長い表参道の石段を登ったところにある神社である。『太平山開山記』によれば、「円仁(慈覚大師)は何年にもわたり太平山の入山を拒否されていたが、淳和天皇の御代の天長4年(827年)、天皇の勅額を奉じることでついに入山を果たした」という。後代、武門をはじめ多くの人から信仰を集め、特に徳川将軍家の信仰が極めてあつかったことから、社運は隆盛し、今日に及んでいる。
 神社拝殿の傍らにはたくさんの境内社があり、交通安全、安産、豊作など沢山の神様が祀られている。
                    
                    県道沿いに聳え立つ大鳥居
 栃木県道269号大平山公園線の永野川を越え、西行すると、すぐ太平山神社の大鳥居を間近くに仰ぎ見ることができる。
 この通りをそのまま直進し、國學院大學付近から右折して山間を進みながら最終的に社の近郊の無料駐車場に停めてから参拝を行った。
        
                        無料駐車場付近にある鳥居

 近道で社の近郊に到着することは出来たが、やはり正当な参拝を行うことに拘りがある為、一旦社殿等を素通りして、長い石段を下り、青銅鳥居まで到着後、改めて参拝を行った。
(本来は一の鳥居からが正しいのだが、あまりに長く、また足腰の状態も完治していなかった為、青銅鳥居からスタートした。それでも十分に険しい行程だ)
        
             青銅鳥居。その右側には社号標柱あり。 
  傾斜はさほど出ないが、長い石段が続く。   石段を上る途中には、清らかな清水が流
                        れる所があり、紙垂も添えられている。
             
                         参道途中、手水舎付近に屹立するご神木
   太平山神社の御神木(杉)。樹高 35m  目通り幹囲 5.7m 推定樹齢 1,000年。
        
                                      隋神門

 ご神木を越えると石段の傾斜が急になり、道路に面した先に隋神門がある。太平山神社への入口 太平山神社の少し下にある門。1723年、太平山神社の下に寺院があった時に仁王門として建てられたもので、 明治の神仏分離令によって寺院は別の場所に移ったが、門はそのまま残された。
 栃木市指定有形文化財 指定十六号  昭和三十六年十二月二十一日指定。
       
 隋神門を越えてから、また急勾配な石段を登り始める。左の写真はある程度登ってから下を撮影した。また登り石段の中段には社号額に「三光神社」と表記されている鳥居(写真右)がある。
        
                        石段もここで終了し、やっと神門に到着。
             やはりこの門も神仏習合の雰囲気が漂う。
        
                               拝 殿
      
    拝殿前には「撫で石」と呼ばれる大きな        拝殿左側にある社のような
    石があり、この石を撫でると災厄が祓わ         社務所
    れ、ご利益があるといわれている。

 太平山神社の境内には、4260柱あまりの様々な神様が祀られている。交通安全、金運、子授け等、様々なご利益のある場所として大切にされている神社である。それぞれが、なかなか立派なので、本殿に近い境内社から順に紹介する。
 
      本殿のすぐ右隣にある交通安全神社                その右並びには福神社
     祭神は猿田彦之神…交通安全に御利益          祭神は天之受売命、恵比寿神、大国主命
                                               …芸能上達、商売繁盛、五穀豊作等の御利益 
        
 福神社の隣には、一見お寺のような社。神仏習合の名残りとの事だ。この一つの社殿には、三社鎮座し、それぞれ以下の神々が祀られている。
・天満宮・文章学社 菅原道眞 (配祀) 思兼命
・星宮 天加加背男命 磐裂神 
・子易神社・易産社 子易大神(木花咲耶姫命)
「星宮神社」は学問成就・雷除け・豊作・芸能上達・子授・安産・女性の守護神のパワースポットとして有名である。
 また星宮の左側に小さな石祠がある。蛇神社といい、蛇神様と言う金運守護の神様をお祀りしている。
        
 星宮神社等の社の隣には3つの稲荷社が合祀された社が鎮座する。
 太平山稲荷神社、御蔵稲荷、伏見稲荷の三社で、それぞれ豊宇気毘売神、倉稲魂命、宇迦之御魂神をお祀りしている。
 また稲荷社の隣には三輪神社…大物主大神、大己貴大神、少名彦神の3神をお祀りする。
 三輪神社の右並びには足尾神社…日本武尊がご祭神。下駄が奉納されている足の神で、天狗様としても信仰されている社。
 
 足尾神社の隣には八社が長屋状態に祀られて,「皇大神宮・稲荷神社・厳島神社・上宮神社・天満宮・大杉神社・織姫神社・浅間神社」が祀られている。(写真撮影は出来なかった)

 
 八合祀社の隣に鎮座する愛宕神社・八幡神社(写真左)。愛宕神社は、火之迦具土神を祀っていて、火除け、盗難除けに御利益があり、八幡神社は、誉田別尊、比売神、神功皇后の3神を祀る勝負運に御利益がある社である。
足尾社の参道を挟んだ展望台側には神馬社(同右)。神様の乗り物である神馬がいる社で、中には木造の馬の像が安置されている。

        
                    太平山神社の展望台からは関東平野が一望できる。

 嘗て戦国時代、関東管領上杉氏を襲名した戦国武将上杉謙信がその眺望の見事さに感嘆したことから「謙信平」とも呼ばれている。眺めの良い場所からは、晴れていれば東京スカイツリーや西新宿高層ビル群、富士山を眺めることもでき、地上が霧になると霧の上から島のように付近の山々がみえることから「陸の松島」とも言われている。


 また太平山神社の元々お祀りされた神様は奥宮(剣之宮・武治之宮)に鎮座されていて、歩いても5分程の近い場所に鎮座している。但し時間の都合上参拝は出来なかったので、案内板の紹介のみしたいと思う。

太平山神社奥宮(劔宮(つるぎのみや)・武治宮(ふじのみや))
ご祭神】天目一大神(あめのまひとつのおおかみ)
ご神徳】天下太平・製鉄関係の産業の発展・諸願成就
 天目一大神は、垂仁(すいにん)天皇の御世、東国を平定するために太平山に鎮座されました。武徳を以て国土を護治する天目一大神が坐す太平山神社の奥宮は「武治宮」と呼ばれました。また、天照大神の窟隠れのときに天利霊劔を造作した神様でもあるため、劔宮とも呼ばれました。劔を作って神威を助けたところから、悪を制して善を育み、世の中を良くするご神徳があります。鋳物や製鉄関係の産業の安全・発展をおまもりする神様でもあります。
                                      案内板より引用



参考資料 「栃木県観光協会HP」Wikipedia」「日本夜景遺産 公式サイト」等
          

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